特許とは
特許とは、新しい発明やアイデアを守るための権利です。発明した人が、一定期間その技術を独占して使えるようになります。私たちの生活には、特許技術がたくさん使われています。スマートフォン、自動車、家電など、身近なものの多くが特許技術によって支えられています。
特許のメリットは、発明者が努力の成果を守れること、企業が安心して研究開発できること、その技術を公開することで社会全体の技術発展にも貢献することです。仮に、特許制度がなかったとすると、せっかく時間と資金をかけて開発した発明がすぐに真似されてしまい、発明者が労力に見合った利益を得られず、新しい技術が生まれにくくなってしまいます。
特許取得のメリット
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1.自社技術を守る特許を取得することで、一定期間その技術を独占的に活用できることになり、競合他社による模倣や不正利用を防ぐことができます。
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2.市場での競争優位の確立独自技術を権利化することで、製品やサービスの差別化が可能となり、市場での優位性とブランド信頼を高められます。
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3.企業価値・信用力の向上特許保有は技術力の証として評価され、取引先や投資家、金融機関からの信頼を得やすくなり、資金調達の場面でも有利に働きます。
特許の対象となる発明の種類
特許法では、「自然法則を利用した技術的思考の創作のうち高度のもの」を発明と定義しています。具体的には、以下のようなカテゴリーに分類されます。
| 発明の種類 | 説明 | 具体例 |
|---|---|---|
| 物の発明 | 具体的な製品、装置、材料など | スマートフォン、新素材、医薬品 |
| 方法の発明 | 物の生産方法や使用方法など | 製造プロセス、計測方法、治療方法 |
| 物を生産する方法の発明 | 特定の物を作り出すための方法 | 科学物質の合成方法、食品の製造方法 |
■特許の対象となる発明の具体例
電気・電子工学分野:半導体デバイス、電子回路、通信技術
機械工学分野:自動車部品、産業機械、家電製品
化学分野:新素材、化学物質、製造プロセス
医療・バイオ分野:医薬品、治療方法、診断技術
情報技術分野:コンピュータプログラム(技術的性質を持つもの)、AIアルゴリズム
■特許にならないもの
単なる発見(自然界に存在するものの発見)
自然法則自体(E-mc²のような公式)
単なるアイデアや着想(具体的な実現手段を伴わないもの)
公序良俗に反するもの
単なる美的創造物(デザインそのもの)
純粋な営業方法(技術的特徴を持たないビジネスモデル)
特許出願から取得までの流れ(国内)
シルベ・ラボ サービスメニュー
| 先行技術調査 | 他人の先行技術の有無や比較検討 |
|---|---|
| ● 出願手続 | 特許を取得するための書類作成および特許庁への提出 |
| ● 出願審査請求 | 審査を開始してもらうための手続 |
| ● 中間手続 | 特許庁からの審査結果の通知書に対する対応 |
| ● 特許手続 | 特許庁からの特許査定に対する特許料納付 |
| ● 審判手続 | 特許庁からの拒絶査定に対する対応 |
| ● 訴訟手続 | 特許庁の審決に対する対応 |
| ● 年金納付手続 | 権利の維持に関する対応 |
審判手続:他人の特許権に対する対応(異議申立て、無効審判)
訴訟手続:被疑侵害者に対する対応(内容証明郵便送付、侵害訴訟、いずれも弁護士と協働)
鑑定/見解:相手の行為が特許権侵害になるかの判断
特許の要件
特許が認められるためには、例えば次のような要件を満たす必要があります。- 出願した発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」(「発明」であること 特許法29条1項柱書)
- 出願した発明が、これまでに世の中になかった新しいものであること(新規性、特許法29条1項)
- 出願した発明が、既に公然と知られた発明等に基づいて容易に発明することができたものでないこと(進歩性、特許法29条2項)
- 他人よりも早く出願していること(特許法29条の2、第39条)
- 公序良俗を害する発明でないこと(特許法32条)
外国で特許取得するための方法
「自社の製品を海外市場で販売・製造する予定がある」「自社技術について、現地企業との技術提携やライセンス供与を行う予定がある」
このような場合に、日本での特許取得のみならず、外国現地での特許取得の必要性が出てきます。
外国で特許出願をするには2つの方法があります。
1つ目は、日本出願から1年以内にパリ優先権を主張して、各国毎に個別に出願するルートです(直接出願)。
2つ目は、PCT(特許協力条約:Patent Cooperation Treaty)に従って行う出願であり、PCT出願と呼ばれます。一つのPCT出願をすると、PCTのすべての加盟国に同時に出願したのと同じ効果が生じます。
1.直接出願
特許を取得したい国に対してパリ優先権を主張して、それぞれ出願手続きをする方法です。現地の弁護士や弁理士を介して、各々の国の言語で、その国の法律に従って出願書類の作成、提出を行います。
【メリット】
特許を取得したい国に対して、別々の手続きを行うことになるため、国ごとの状況や戦略に合わせて出願の内容を臨機応変に変えることができます。
【デメリット】
(1)国ごとに現地代理人が必要となるため、多くの国に出願する場合には高額となってしまうことがあります。
(2)国ごとの手続きに従う必要があり、また年金の期限管理も各国ごとにしなければならないので、手続や管理が煩雑になります。
2.PCT出願
PCT出願の特徴は、国際的に統一された様式による出願書類を1通作成し、自国の特許庁に提出することで、PCT加盟国である全ての国に対し、同時に出願したことと同じ効果が与えられるという点です。すなわち、PCT出願に与えられた出願日(国際出願日)は、全てのPCT加盟国における「国内出願」の出願日となり、原則30月以内に権利を取得したい国に対し、翻訳文の提出等の移行手続を行っていくことになります。PCT出願は原則、全ての加盟国を指定することになっていますが、願書で「日本を除外する」という項目にチェックをつけることで、日本を指定国から外すことが可能です。
【メリット】
(1)外国への特許出願手続が簡素化される
国際的に統一された様式での文書1通を、日本の特許庁が定める言語(日本語又は英語)で作成し提出するだけで、すべてのPCT加盟国に対して各々の国に特許出願をしたのと同じ効果を得ることができます。
(2)発明を評価するための調査結果を事前に確認できる
PCT出願をすると、出願した発明に関する先行技術があるか否かを国際調査機関が調査する「国際調査」の対象となります。出願人はその調査の結果を入手できる上に、発明の特許可能性に関する見解を得ることができます。
また、任意で国際予備審査を受けることができ、国際調査機関の見解書よりも一歩進んだ国際予備審査報告が得られるため、選択国の国内段階へ移行するか否かについての判断をより適切に行うことが可能になります。特許可能性に関する判断結果を事前に検討して手続を進めることができれば、その国での特許取得の成功率は上がりますし、万が一、判断結果が否定的だった場合にはこの時点で手続を断念できるので、無駄なコストがかかりません。
なお、否定的な見解書の場合には、国際段階において特許請求の範囲等の補正することも可能です(PCT19条、34条による補正)。
(3)原則30ヵ月の猶予期間を得られる
外国で特許を取る際には、翻訳文の作成や権利取得する国の選定など、どうしても時間がかかってしまう作業が多数発生しますが、PCT出願なら猶予期間が30カ月と長いため、余裕を持って手続きの準備にあたることができます。
【デメリット】
少数の国について出願する場合(例えば3ヶ国以下)は、直接出願をするよりも費用が高くなってしまうことがあります。
また、多くの場合、30カ月という期間を利用して移行国を決定しますので、最終的な特許取得までの期間については、直接出願の場合に比べ、長くなるという傾向にはあります。

