意匠とは
私たちは普段、お店に足を運び、陳列されている商品の中から欲しいものを選んでくるか、ECサイトで検索し、ピックアップされてきた商品群の中から選択してポチっとするということをして、商品を購入しているわけですが、その際、最低限必要とする性能はどの商品でも持っているというような場合、商品購入の最終的な決め手となるのは、デザインであるというようなことがよくあります。
デザインは、商品の購入意欲を湧かせる重要なポイントになります。形状や模様・色彩などに係るデザイン、すなわち「意匠」は、商品の競争力を向上させる大きな要因の一つであり、これを意匠登録することで、利益の源泉となるデザインを真似されないように保護できるという利点があります。
意匠登録のメリット
-
1.ビジネスを守る効果意匠登録をすると、独占的に実施することが認められるため(意匠法第23条)。他人から何ら文句をつけられることなく、安心してその意匠を実施して事業を継続することができます。
-
2.ビジネスを発展させる効果創作したデザインのオリジナル性の証明やデザイン力など、自社の信頼性をアピールすることで、市場における商品の競争力を向上させることができます。
-
3.ブランド形成をサポートする効果複数の製品群に横断的に施されるようなデザインを意匠権で保護することで、より強固なブランドを構築することが可能になります。
意匠の種類
| (1) 全体意匠 | 物品全体の美的な形態(形状、模様、色彩、これらの結合) |
|---|---|
| (2) 部分意匠 | 物品の一部分の形態 |
| (3) 画像意匠 | アプリのアイコンなど、物品とは切り離されたた画像の形態 |
| (4) 建築物 | 住宅や病院などの建築物(建築物の部分を含む)の形態 |
| (5) 内装 | 家具や什器など、施設の内部の複数の物品の組合せや配置などで構成されたデザイン |
| (6) 組物 | 一組の食器セットなど、同時に使用される二以上の物品などで構成されたデザイン |
| (7) 動的意匠 | 物品の形態がその機能に基づいて変化する場合に、その変化の前後に渡るデザイン |
【意匠に係る物品】コップ
【意匠に係る物品の説明】
本物品は、底面部がリング形状になっているコップである。使用状態を示す参考図に示す様にフックに掛ければ水切り乾燥ができる。
【意匠に係る物品】コップ
【意匠の説明】
実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である・・・(抜粋)
【意匠に係る物品】アイコン用画像
【意匠に係る物品の説明】
住宅の住み心地をシミュレーションするソフトの起動操作のためのアイコン用画像である。
【意匠に係る物品】遊戯施設
【意匠に係る物品の説明】
本建築物は、その内部及び中央中庭部分を、遊戯スペースとして用いるものである。本建築物は、各図の名称を示す参考図に示すように、全体を略螺旋状の建造物本体と建造物本体の中央に設けた中庭と建造物本体の内周壁に沿って建造された回廊とで構成されている。建造物本体は、全体の形状を螺旋状とし、平面視において外周壁は螺旋状に建造され内周壁は正円状に建造される・・・(抜粋)
【意匠に係る物品】店舗の売場の内装
【意匠に係る物品の説明】
本内装は店舗の売場の内装であり、壁面には、商品陳列棚と商品に関する情報を表示するディスプレイが設置されている。木目調の商品陳列机の内側には、3段の円盤状のトレイを有し、その中心部に円筒の間接照明が設置され、1段目と2段目のトレイには観葉植物が植わっている円筒状の鑑賞装置が設置されている。
【意匠に係る物品】一組の応接家具セット
【意匠に係る物品の説明】
本物品は、テーブルとベンチとチェア2つを備えて成る一組の応接家具セットである。
【意匠に係る物品】背もたれクッション
【意匠に係る物品の説明】
本物品は、使用者の体重を支えるストッパーを有し、「約45度に傾けた状態の右側面図」及び「背もたれ部を倒した状態の右側面図」に表されるように、背もたれ部が傾倒するリクライニング構造の背もたれクッションである・・・(抜粋)
【意匠の説明】
本願意匠は、背もたれ部の角度調節が可能な動的意匠である・・・(抜粋)
意匠出願から登録までの流れ(国内)
シルベ・ラボ サービスメニュー
| 先行意匠調査 | 他人の先行意匠の有無や比較検討 |
|---|---|
| ● 出願手続 | 意匠を登録するための書類作成および特許庁への提出 |
| ● 中間手続 | 特許庁からの審査結果の通知書に対する対応 |
| ● 登録手続 | 特許庁からの登録査定に対する登録料納付 |
| ● 審判手続 | 特許庁からの拒絶査定に対する対応 |
| ● 訴訟手続 | 特許庁の審決に対する対応 |
| ● 年金納付手続 | 権利の更新に関する対応 |
審判手続:他人の意匠登録に対する対応(無効審判)
訴訟手続:被疑侵害者に対する対応(内容証明郵便送付、侵害訴訟、いずれも弁護士と協働)
鑑定/見解:相手の行為が意匠権侵害になるかの判断
意匠の登録要件
意匠を登録するためには、例えば次のような要件を満たす必要があります。- 出願した意匠が今までにない新しい意匠であること(新規性、意匠法3条1項)
- 容易に創作することができたものでないこと(創作非容易性、意匠法3条2項)
- 先に出願された意匠の一部と同一又は類似でないこと(意匠法3条の2)
- 他人の業務に係る物品、建築又は画像と混同を生ずるおそれがある意匠でないこと(意匠法5条2号)
- 他人よりも早く出願していること(意匠法9条)
外国で意匠登録するための方法
例えば、特徴のあるデザインのスニーカーについて日本において意匠権を取得し、販売に向けて準備をしていたとします。スニーカーの製造自体は、コストの安い外国Xで行うこととしました。同様のデザインのスニーカーについて、仮に、外国Xで偶然、他人が意匠権を保有してしまうようなことがあると、その外国Xでのスニーカーの製造について権利侵害で訴えられてしまうおそれが出てきてしまうということになります。 したがって、日本での意匠権を取得した場合でも、他の国で製造や販売等を行う場合には、それらの国でも意匠権を得ておく必要があります。
外国で意匠権を取得するには2つの方法があります。
1つ目は、各国に対し、その国の代理人を通じてその国の言語で直接出願する方法です(直接出願)。
2つ目は、日本がハーグ協定(ジュネーブ改正協定)に加入したことにより、英語・フランス語・スペイン語のいずれかの言語で作成した1通の出願書類を日本国特許庁を介してあるいは国際事務局にダイレクトに提出することにより、日本を含む加盟する複数国に一括して登録出願した効果を得ることができる手続き方法です(ハーグ出願)。
1.直接出願
意匠権を取得したい国に直接出願をします。この場合、各国で意匠出願手続きを代理することができることが認められている弁護士や弁理士といった現地代理人を通じて、その国の言語で、国ごとに手続きを行います。
【メリット】
各国の現地代理人を介して出願手続きをすることになるので、最新の法改正や現地のプラクティスに対応した手続が可能となります。
【デメリット】
(1)国ごとに現地代理人が必要となるため、多くの国に出願する場合には高額となってしまうことがあります。
(2)国ごとに、各国の言語で、国ごとの手続きに従う必要があり、意匠登録後の期限管理も各国ごとにしなければならないので、手続や管理が煩雑になり、また、各国の年金納付手続きに係る費用も負担となります。
2.ハーグ出願
保護を希望する意匠や指定国を記載した出願書類を、日本国特許庁あるいはWIPO国際事務局へ提出することで、各指定国への正規の出願をしたのと同一の効果が発生します。商標における国際出願であるマドプロ出願とは異なり、日本における本国出願・登録は不要であり、日本を国際出願の指定国とすることも可能です。
【メリット】
(1)費用削減
無審査制度を採用する指定国の場合や、出願人が保護を希望した指定国において拒絶理由が発見されずに登録が認められる場合には、各国の現地代理人の選任は不要なため、国ごとに直接出願する場合よりも費用が安くなります。
(2)管理の一元化
ハーグ出願では、国際事務局における国際登録簿により権利関係は一元管理されているため、5年ごとの権利更新や国際登録の変更(所有権の変更、放棄、名称変更等)に係る各種申請は全て WIPO 国際事務局に対する1つの手続ですみ、各国に直接手続をする必要がありません。
【デメリット】
(1)原則、国際登録の日から6月後(国により延長可、日本は最長30月)に国際意匠公報で公表され、登録の可否にかかわらず、意匠出願や拒絶理由の内容なども公開されてしまいます。日本では認められている秘密意匠制度(登録から最長3年間意匠を非公開)もありません。
(2)出願時にWIPOへ料金を前払いするため、拒絶が確定した場合には、6ヶ月以内に登録料相当を返還請求する必要があります。また、日本での出願のように、1年単位での登録料納付ができません。

